INTERVIEW銀行の「監査」を変えていく。
大きな裁量を委ねられ、
経営と直結しながら
組織や業務の改善に挑む。
監査部大古 哲
前職もメガバンク。そこで監査の醍醐味を覚え、
さらなる成長の機会を求めてSMBCへ。
私は同業からの転職です。新卒でメガバンクに入社し、法人営業に10年ほど携わった後、監査部へ異動。それまでは監査に対して、現場で発生したミスを指摘するだけの非生産的なイメージを持っていました。しかし監査部に異動してから、銀行の抱えるリスクを適切にコントロールできる仕組みを構築するように提言することが監査の重要な役割だと知り、クリエイティブな面もある仕事だと魅力を覚えました。
その後、マネー・ローンダリング対策のためのFATF(金融活動作業部会)に対応する行内のプロジェクトチームなどにも参加しましたが、ちょうどプロジェクトが一段落ついた頃、先のコロナ禍で在宅勤務中心に。意外とテレワークでも仕事を回すことができることが分かった反面、逆に私はそこに物足りなさを感じるようになっていきました。自分の成長が滞っているような感覚で、新たなスキルを得たいと米国公認会計士の資格取得にも取り組みましたが、その過程で外の世界にも興味が湧き、何か良いキャリアチェンジの機会があればと人材エージェントに登録。そこでSMBCが監査部門の強化を図っているという連絡をいただき、一度話だけでも聞いてみようとアプローチしました。
面談の場では監査部門の方とお会いしましたが、SMBCの監査を良い方向に変えていきたいというポジティブな姿勢がうかがえて、とても刺激を受けました。ここに参加すれば、きっと面白いキャリアが築けるに違いない、と。実は、私の妻がかつてSMBCに勤務していて、彼女も「SMBCは自由闊達で挑戦を重んじる風土。生意気なあなたにはきっと合っている」と後押ししてくれました。私も30代後半に差しかかり、このタイミングでもう一度、自分をさらに大きく成長させることができる環境に身を置きたいとSMBCへの転職を決意したのです。
単なるチェック機能では存在意義はない。
グローバルな知見を結集し、より高度な監査を追求。
SMBC入社後は、監査部のコンプライアンス監査グループに所属。マネー・ローンダリング対策や振り込め詐欺などの金融犯罪防止対策等、銀行が対処すべきリスクを管理するために構築された仕組みが、きちんと機能しているかを検証することが当グループのミッションです。この分野は、各国当局から頻繁にグローバルなガイドラインが出るダイナミックな分野。監査の際、ただ誤りを指摘するのではなく、銀行業務の改善に役立つような付加価値を提供できなければ、我々が存在する意義はない。加えて、検証の結果特に問題が無かった場合は、我々は業務部門の取組みを確りと後押しする存在でなければなりません。我々の取り組みは発展途上であり、いま、部門を挙げて「どうすればより経営に役立つ組織になれるのか」を考えながら日々の業務に臨んでいます。
また、SMBCの監査部門は少数精鋭で、若手・中堅層やキャリア入行者にも責任ある業務が任せられています。私も入社半年で、行内のコンプライアンス部署に対する監査のリーダーを任され、さまざまな専門性を持つメンバー数名を率いて監査を実施。対面するのは部の責任者クラスで、そうした方々と議論して業務の課題に対する共通認識を持つのは大変ですが、こちらの意図を理解いただき、業務や組織の改善につながる監査をまとめることができた時は大きな達成感がありました。
加えてグローバル監査にも参加しており、先日シンガポールに出張しました。米州・欧州拠点の監査部スタッフとも協議しながら、共通の目線での監査を日本やシンガポールなど各国で行う取組みです。金融機関の監査は欧米のほうが先進的な部分が多く、優れた手法が確立されているので、グローバル監査を通して欧米の知見を吸収することにも取り組んでいます。それをもとに、日本の事情も考慮しつつ国内における監査業務をさらに高度化していくことも、私たちに課せられた使命。まだまだ道半ばですが、海外の優秀なスタッフたちと日常的に議論しながら、あるべき監査の形を追求していくことに、やりがいを感じます。
私たちが目指しているのは、「経営に資する監査」です。監査部門が提示した課題とその改善提言が、ダイレクトに経営の意思決定に反映され、SMBCに良い変化をもたらして企業価値を向上させていく。それをリードできる人材になれるよう、これからさらにキャリアを重ねていきたいと思っています。
SMBCのカラー
「走りながら考える」カルチャー。挑戦を重んじ、忌憚ない発言が歓迎される。
監査業務自体は前職とそれほど相違はなく、私もあまりギャップを感じずSMBCの監査部門に馴染むことができました。ただ、課題解決に向けてのスピード感がSMBCは格段に速い印象です。大企業であるものの、個々の業務主体では一人一人がプロとして高い専門性を持って担当業務を任されており、現場に裁量が委ねられているので意思決定が速い。そして決定したことはすぐに行動に移し、問題が生じればアジャイルに対応していく。まさに「走りながら考える」のがSMBC流であり、それも私に合っていると感じています。
また、事前に聞いていた通り、SMBCは挑戦を重んじるカルチャーで、プロとして言いたいことが言える風土です。私はどちらかと言えば、臆することなく自分の考えをはっきり言うタイプですが、むしろそうした発言が歓迎され実際の変化に繋がる手応えを感じています。特に監査部門は、今まさに従来のやり方から脱しようとしており、大胆な意見であっても受け入れてくれる懐の深さがあります。そういう意味で、監査部門はキャリア入行者の方々が活躍しやすい環境であると強く感じます。これから参加される方も、「良い意味で空気を読まずに」ご自身の考えを忌憚なく発信していただきたいですね。
SMBCで挑戦したいこと
監査を経験した人材が、経営トップに就く。そんな未来に向けて、もっと自分を高めていきたい。
「監査」というと、組織や業務をチェックする牽制色の強い仕事だと一般的には思われていると思いますが、そのイメージを変えていきたいですね。もちろんチェック機能は重要ですが、そこで特定された課題の解決にまで貢献するアドバイザリー機能をいっそう強化し、銀行全体に良いインパクトを与えていくことで、若手人材から「監査でキャリアを積みたい」と目標にされる部門にしたい。これからSMBC内での監査の存在感をますます高め、また、日本の銀行業界でもモデルとなるような監査体制を築き上げていくことに、微力ながら貢献したいと考えています。
そして今後、社会がますます複雑になっていくなかで、金融機関におけるリスクマネジメントやガバナンス強化の重要性はますます高まっていくと思います。監査を経験してリスクマネジメントやガバナンス強化を通じて企業価値を向上させることを良く理解できている人材が経営トップに就く、それが当たり前の時代になってもおかしくはありません。そうした監査部門のプレゼンス向上の一翼を、今後も担っていきたいと思っています。